プライベートクレジットに見え隠れするリスクに関して、JPモルガン・ダイモンCEOは「ゴキブリを1匹見たら、おそらく他にもいる」と警鐘を鳴らしている[今年5月、対仏投資誘致イベント「チューズ・フランス」に先だって開催されたカンファレンスに登壇したダイモンCEO=2025年5月15日、フランス・パリ](C) AFP=時事

 トランプ大統領の再登場後、さまざまな常識が一変した。

 世界中に対して関税砲を撃ちまくり自国主義を振りかざしたかと思うと、ESG投資を忌み嫌い、パリ協定からの脱退を決めた。また、金融緩和をなかなかしないFRB(米連邦準備制度理事会)には常に嫌味を言い続けてきた。低所得者層から取り上げた資金を富裕層に使う措置を取ることになるOBBB法案(ひとつの美しくて大きい法案)を通過させ、世界中に対して関税を調整する見返りに米国への巨額の投資を約束させた。

 天真爛漫を通り過ぎてあまりにも破天荒なトランプ政権の政策に、周りは一様に呆れ顔でも、一方で自国だけは得をしようと必死に交渉も進めている有様。

 では米国経済はどうなったか。筆者はこれまで、どこかで米国がダメになるのではないか、と固唾を飲んで見てきたが、一向に景気がスローダウンすることもなく、NYダウは史上最高値を更新してきたのが実際だ。

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