三井住友フィナンシャルグループ(FG)が大和証券グループの「取り込み」を断念した。共同出資していた大和証券SMBCの持ち株全てを大和に売却、提携関係を解消する。 両社のバトルを当事者以上の関心で見守っていた金融機関がある。三井住友と同じ住友系でありながら「犬猿の仲」といわれる住友信託銀行だ。三メガバンクの中で信託機能が格段に見劣りする三井住友は住友信託を虎視眈々と狙ってきた。 住友信託の「ドン」と称される高橋温会長の激しい拒否反応は今も変わらないが、大和に向かっていた三井住友の矛先は「間違いなくうちに向かう」(住友信託幹部)。買収に成功した日興コーディアル証券に加え大手信託まで取り込めば、金融コングロマリットに強いこだわりがあるとされる奥正之・三井住友FG会長の野望のパズルは、ほぼピースがそろうことになる。 住友信託と並ぶ独立系の中央三井信託銀行も三井住友のターゲットではある。ただ、経営環境の悪化により政府が保有株の三割を超す筆頭株主に躍り出るなど「実質公的管理下」に置かれたことで、「三井住友としては手を出しづらくなった」(メガバンク関係者)。「不幸中の幸い」との皮肉な声も聞かれる。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。