高市発言「撤回」は習近平政権にとって「チャンス」でしかない(上)
2025年11月28日
中国外交部が日本大使の召喚に際して使った「奉示召見(お召しを奉って会う)」との表現は、おそらく過去に例がない。「お召し」とはつまり、習近平が発した闘争指示。それを内外に示したことになる (C)AFP=時事
台湾有事が集団的自衛権を行使可能な「存立危機事態」になり得るとした高市早苗首相の国会答弁をめぐり、中国政府が対日批判をエスカレートさせている背景には、習近平国家主席による「闘争指示」があった。「主席にならえ」が最優先される中国官僚システムのなかで、日中関係悪化の長期化はもはや不可避である。
台湾問題など、いかなる犠牲を払ってでも譲らない「核心的利益」に関して日本側が「仕掛けてきた」ととらえれば、それを口実にして「倍返し」的に報復して日本を追い込み、対中国通商交渉を重視するドナルド・トランプ米大統領も巻き込みながら、自分たちにとって有利な状況を新たに生み出そうとする戦略を強化している。われわれが注視しなければならないのは、共産党の真の狙いは何なのかを見極め、冷静に対応することだ。
中国が注視した高市内閣からの「前向きなシグナル」
「高市発言」が直接の発端となった今回の日中対立劇の根源は、中国共産党がもとから「右翼・タカ派・親台湾」と警戒した高市との向き合い方を内部でどう認識したか、という点に行き着く。まずは、10月4日に高市が自民党総裁に就任してからの中国側の動きを時系列的に検証してみたい。
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