米トランプ大統領は11月に南アフリカで開かれたG20サミットに参加しなかった[左から6人目が南アのラマポーザ大統領=2025年11月22日、南アフリカ・ヨハネスブルク](C)EPA=時事

 

白人の被抑圧状況も見逃せない

 その言動が連日メディアを賑わすドナルド・トランプ米大統領だが、中でも多くの日本人に奇異に受け止められた一件が、今年5月に行われた南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領との会談ではないだろうか。トランプ氏はホワイトハウスでの首脳会談の途中、突如として、南アフリカで過激な白人排斥を訴える極左野党の党首が公然と白人住民の殺害を呼びかける映像を見せ、「南アフリカでは白人のアフリカーナー(※オランダ系移民の子孫を主体とする白人民族集団)がジェノサイドに遭っている」と一方的に主張し、南アフリカ政府の対応を非難したのだ。

 実はトランプ氏は1期目から同様の主張を展開していて、それを知る南アフリカ政府はわざわざアフリカーナーのプロゴルフ選手を同伴させるなど十分な準備の上で会談に臨んだわけだが、いずれにせよ、外交儀礼から大きく逸脱したトランプ氏の言動はたちまちメディアの格好の批判の的となり、終始冷静に対応したラマポーザ氏への高評価とは対照的に、トランプ氏の主張した内容に関しても否定的な言説が多数を占めた。しかし、トランプ氏はその後も南アフリカ政府への攻撃姿勢を弱めることなく、今年11月に南アフリカで開催されたG20についても白人住民の人権侵害を理由にボイコットした。

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