「意思決定の外側にいた」民主党ゆえの可能性

執筆者:田中直毅2009年10月号

 民主党政権のもとでの経済成長戦略を、「繋ぐ」「断つ」「創る」という三つの観点から考えてみたい。 克服されねばならないのは組織的割拠主義、先送り主義、そして現実追随主義である。これらは日本の官僚制度に特有なものとされてきたが、実際には日本のビジネスにも知らず知らずのうちに浸透してきたものといわねばならない。戦後の支配的な仕組みであった「五五年体制」の総決算がなされなければ、明日の成長戦略も立たないことが自覚される中で、民主党政権は誕生した。まず内需型の需要発掘を妨げてきた「繋がらない」個人データを考える。統一的識別番号は不可欠だ グローバリズムが全面化した過去の四半世紀の間に、コモディティ(普通の工業製品)の生産拠点は新興国に移行した。そもそも、「ソニー」や「ホンダ」の起業環境を、日本で再現させることは難しくなったのだ。そして先進工業国での就労増は、五百人未満の事業所が専ら受け持つようになった。 十年単位で雇用増を考えれば、一万人を超える大企業に多くを期待するのは難しい。大規模工業団地の造成という、日本列島を覆った発想がことごとく失敗したのは、こうした経済社会のグローバルな変容にあまりにも鈍感な計画屋が政府部内にはびこったからである。

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