不況で方針転換する会計士・弁護士業界の迷走

執筆者:富山創一朗2009年10月号

経済のグローバル化を背景に採用を拡大してきた両業界。だが景気鳥が悪くなるや否や採用を縮小し、既得権を守ろうとしている。 大幅な景気悪化で「就職氷河期」が再来しつつある中、公認会計士や弁護士、税理士といった、いわゆる「資格商売」の人気が高まっている。資格を取りさえすれば、食いっぱぐれはないと、難関の試験に挑む人が急増しているのだ。ところが、である。不況の波はこうした専門職業にも及んでいる。これまで試験を易しくして合格者を増やせ、と言い続けてきた専門職業団体が、今度は門を閉ざせ、と言い始めている。そこには、既得権を守るための業界エゴが透けてみえる。 八月二十一日から二十三日まで、公認会計士試験の論文式試験が全国各地で一斉に行なわれた。今年の公認会計士試験には二万千二百五十五人が挑戦、短答式試験を突破した人たちが、三日にわたって「会計学」「監査論」「租税法」など六科目の試験に挑んだ。 十一月二十六日に合格者が発表されるが、今年は例年になくその結果が注目されている。受験者数は昨年を百人近く上回って、過去最高。果たして、そのうちの何人が合格し、合格率はどうなるか。世界経済の収縮で…… 二年前の二〇〇七年十一月の発表は衝撃的だった。二万九百二十六人が受験し、四千四十一人が合格。合格率は一九・三%に達したのだ。前の年は三千百八人で一四・九%だったので、大幅に「易しく」なったのだ。

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