政権交代で加速する「財界総理」の落日

執筆者:杜耕次2009年10月号

麻生政権で経済財政諮問会議のメンバーから外され、政界から見限られた御手洗経団連会長。キヤノンでもミスジャッジが続く中、民主党政権の誕生は、さらなる逆風となりそうだ。 歴史的な政権交代に道を開いた八月三十日の総選挙。民主党の地滑り的勝利は永田町のみならず、霞が関や大手町にも激震をもたらしている。選挙前に民主党の農業政策を真っ向から批判していた農水省事務次官をはじめ、かねて民主党政権が誕生した暁には「お辞めいただく」と新首相鳩山由紀夫(六二)が公言していた日本郵政社長など、首筋が寒くなった旧体制のリーダーたちはさぞや寝覚めの悪い日々を送っているに違いない。財界の最高峰、日本経団連会長を務める御手洗冨士夫(七三)もその一人だろう。 もちろん、農水次官や郵政社長と違って、新政権に経団連会長の人事権はない。だが、二年前の「偽装請負」問題では告発対象のキヤノンの会長として民主党がしつこく国会への参考人招致を求め、さらに昨年末に大分キヤノンが千人を超す「派遣切り」を実施した際には社民党も加わって再び御手洗を国会に引きずり出そうとした。「結局“政治音痴”では財界総理は務まらない。麻生(太郎)さんと同じ。なった方にも問題はあるが、選んだ方の責任も重大だ」

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