本物のファッションショーがミャンマーに蒔いた種
2009年10月号
ミャンマーの最大都市ヤンゴンにある最高格式の白亜のストランドホテルは、英植民地時代の一九〇一年に作られたビクトリア様式の荘重な建物である。八月二十二、二十三の両日、コシノジュンコさんのファッションショーがもたれ、ホテルは熱気と拍手と歓声に包まれた。 今年は日本とメコン地域諸国の交流年。この一環で日本の外務省と国際交流基金が企画した。日本大使館の担当者は「ここではファッションショーが結構盛んなのですが、レベルはまだまだ。世界の一流デザイナーの、本物のショーを見てもらいたいと思いました」と語る。 白羽の矢が立ったのが、中国やベトナムなどの社会主義国でショーを開き、ファッションを通して日本文化を紹介してきたコシノジュンコさん。「話が持ち込まれた時、先入観を捨てようと思いました。ミャンマーはこのレベルだからこの程度でいいだろうではなく、パリ、ニューヨークでやるのと同じ最高のものを見せる。それは必ず伝わると思いました」 コシノさんのご主人が何回か現地を視察して準備。コシノさんも三月に現地入りし、オーディションでモデル百三十人の中から十七人を選んだ。そして本番では、日本人モデル四人をはじめ、音響、照明、メイク、ヘアー、ディレクターなど総勢十七人が日本から乗り込んだ。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。