民主党「子ども手当」の意義と改善すべき点

執筆者:渥美由喜2009年10月号

 民主党政権になって、少子化対策はどう変わるか。最も大きな変化は、月額二万六千円にのぼる「子ども手当」制度の導入であろう。子ども手当には「所得制限がない」「給付対象が中三までと長い」といった特徴がある。 筆者は、子ども手当の創設が家計に与える影響を分析するため、五百二十ケース(妻の就労の有無の二ケース×子どもの数・年齢の二十ケース×世帯年収の十三ケース)の試算を行なった。最もプラスが大きかったのは、「共働きで世帯年収三百万円、中学生二人と小六以下一人の子どもがいる世帯」で、年額七十九・二万円ものプラスとなる。大まかな傾向として、子ども手当の導入は、特に「共働き」「世帯年収が低い」「中学生以下の子どもがいる」世帯にとって恩恵が大きい。 子ども手当は、〇歳から中学校卒業まで支給され、総額で一人当たり五百万円近い水準だ。一部のメディアからは「バラマキ」という批判もある。 しかし筆者は、子ども手当には以下のような大きな意義があると考えている。 第一に、わが国の社会システムを「片働き(専業主婦)世帯」モデルから、「共働き世帯」モデルへと転換させるインセンティブとなる。配偶者・扶養控除が廃止されるため、「片働き」よりも「共働き」で、かつ子どもがいる世帯に恩恵が大きい。

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