米国はいつまでも鳩山政権にやさしくはない

執筆者:マイケル・グリーン2009年11月号

[ワシントン発]発足から一カ月を経た鳩山政権は、世論調査で高い支持率を維持している。米国のオバマ政権も敬意と寛容をもって支持する姿勢を示し、あからさまな衝突は避けるよう努めつつ、日本の民主党政権がより現実的な方向へと着実に舵を切っていくことを期待してきた。 だが、ワシントンの高官たちの間には懸念が湧き上がりつつある――米国の示す寛容と忍耐を日本の新政権は弱腰あるいは柔軟性の印だと誤認しているのではないか? 海上自衛隊のインド洋への派遣や沖縄の米軍基地移転といった問題では、オバマ政権の立ち位置はブッシュ時代とほとんど変わっていないにもかかわらず――。 こうした憂慮を裏書きするのは、鳩山政権の閣僚たちが発するさまざまなシグナルだ。彼らの声に耳を傾けていると、連立与党は野党からの脱皮が思うように進んでいないように思えてくる。独自の見解をマスメディアに自由に開陳していい立場から、自身の発言が海外から日本政府の政策と直結して受け取られる立場へ。その変化に新閣僚たちはうまく適応できていない。新閣僚に「発言統制」が必要なのは珍しいことではないが、オバマ政権や韓国の李明博政権、オーストラリアのラッド政権などの立ち上がりの時期と比較すると、日本の連立政権から飛び出す発言の雑多さは群を抜いている。

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