「政治のウソ」を暴く米ウェブサイトの威力

執筆者:ルイス・ジェイコブソン2009年11月号

医療保険制度改革論議が過熱するにつれ、怪しげな言説も横行。人々は真実を求めて「ポリティファクト」に殺到している。[ワシントン発]バラク・オバマ米大統領が国内政策の柱に掲げる医療保険制度改革。だが、米議会はその意に反して、審議が間に合わないことを理由に改革法案の採決を夏休み明けの九月以降に先送りした。夏の間中、国民の関心は医療保険に集中し、季節が秋に変わった今もなお、その話題抜きには夜も日も明けぬ有様。政治家や市民活動グループの中には、この問題に入れ込むあまり、「事実」を見失いつつある者もいる。 オバマ大統領と民主党議員が無保険の国民を減らすべく法案可決を訴える一方、共和党議員や保守系市民団体は、「国民皆保険制度」の導入には費用がかかり過ぎる、政府が民間の保険市場に過剰な介入をすることになるとして、猛反発している。 米国民が医療保険制度改革に寄せる思いは熱い。それだけに、時として、それが行き過ぎた言動や批判へとエスカレートする。この八月、地元に戻り、住民集会に出席した議員らを待ち受けていたのは、怒れる有権者の批判の礫だった。改革反対派が銃を手にして集会場周辺に現れたこともある。オバマ大統領が連邦議会の上下両院合同本会議で行なった医療保険制度改革の演説中、ある共和党議員は米議会二百年の伝統を破り、大統領に向かって、こう野次を飛ばした。「ウソつき!」。

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