オバマに課せられた「戦争」と「改革」の両立

執筆者:リンダ・フェルドマン2009年12月号

[ワシントン発]大統領選挙で歴史的な勝利を得て一年、空を飛んでいるようだったバラク・オバマがついに地上に降りた。失業率は心理的痛みを覚える一〇%を超え、アフガニスタン、および内政上の最重要課題である医療保険改革にどう対処するかをめぐって、党内駆け引きと党派対立で動きを奪われつつある。 オバマの仕事ぶりに関しては、依然として五〇%程度の国民が支持している。だが、来年十一月の中間選挙の見通しは与党民主党にとって明るくはない。最新のギャラップ社の世論調査によると、下院議員の選択で有権者は四八%対四四%で共和党候補を支持している。 昨年の選挙で民主党が手にした圧倒的過半数が次の中間選挙で一気に失われるとは誰も予想しないが、少なくとも共和党との議席数の差が縮まることは間違いない。だからこそ、オバマ政権は中間選挙に向けた動きが本格化する前に医療保険改革法案を成立させようとしている。 下院が修正法案を五票差で辛うじて可決したのは十一月七日のこと。上院での採否はさらにぎりぎりの攻防となる。というのも、共和党ばかりか民主党内にも法案に対する不満が渦巻いているからだ。リベラル派は人工妊娠中絶手術が保険対象外とされたことに怒り、保守派は公的保険の導入が法案に盛り込まれたのは社会主義的だと批判する。

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