西沙諸島では中越関係にヒビ

執筆者:2009年12月号

 中国とベトナムの関係も急速に悪化している。南シナ海の西沙諸島で、中国が実効支配する島に台風被害を避けるためベトナム人漁師が緊急避難。これに対し、島に駐屯する中国武装集団が銃撃したのがきっかけだ。 ベトナム沿岸警備当局などによると、九月二十九日、同諸島周辺海域で操業中のベトナム漁船団(漁民二百十五人)が台風を避けて島に避難した。ところが中国側は銃撃を加えた上、漁民に暴行。現金や貴重品、無線・通信機器など漁船の装備を略奪したとベトナム側は主張。中国側に事実関係の調査と、謝罪、弁償を求めたが、正式な回答はないという。 西沙諸島では、一九七四年に中国軍とベトナム軍が衝突。その後中国が武装した住民(軍関係者とみられる)を定住させて「実効支配」を続ける一方、八八年には永興島に空港や港湾施設を建設した。こうした中国の動きの背景には、同諸島周辺海域の豊富な石油や天然ガスなどの地下資源の存在がある。

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