来年四月一日に相互会社から株式会社に衣替えする予定の第一生命保険は、同日付での東証一部上場に向けて準備を進めている。今年三月末現在の有配当契約者には株式が割り当てられ、推定で七百三十八万人に臨時収入が転がり込むことになる。 第一生命の上場時価総額は二兆円前後と推計され、単純に契約者数で割ると一人二十七万円ほどが株式または現金の形で割り当てられ、景気浮揚効果は大きい。 これに目を付けたのが民主党だ。マニフェストに掲げた子ども手当の拡充や高校無償化などの施策は、突き詰めれば家計への資金還流策であり、支持率維持を狙ったばら撒きの色合いが濃く、財政支出を増大させる副作用は無視できない。 だが、生保の株式会社化と上場が進めば国庫負担なしで消費者の懐を潤すことが可能だ。金融庁も自民党政権の時代から経営の透明性に欠ける「相互会社」の形態には批判的な態度を取っている。民主党と金融庁の思惑は一致しており、税制優遇の撤廃など相互会社への規制を強め、株式会社化へ誘導することはそう難しくはない。金融界ではさっそく、住友生命保険が三井住友フィナンシャルグループ入りのため、株式会社に組織変更するとの観測が出ている。

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