中国のネットショッピングサイト「淘宝(タオバオ)網」が急速に成長を続けている。二〇〇三年創業のベンチャーにもかかわらず、会員数は今年六月末で一億四千五百万人。一年間で会員数が約二倍になった。 タオバオは、中国語で「宝をつかみ出す」という意味。企業や個人がネット上に売りに出した商品を個人消費者が主に購入する。日本の「楽天」のようなサイトだ。扱っているのは家電、衣類、食品、化粧品、書籍などさまざま。コピー商品も一部で出回っているといわれるが、中国の消費者の信頼はおおむね高いようだ。 タオバオの〇九年上半期の取引額は八百九億元で、日本円にして一兆一千億円。中国の物価の安さを考えれば、驚異的な金額だ。中国国家統計局が発表した同時期の消費財小売総額は五兆八千七百十一億元だったから、中国の小売りのうち一・四%がタオバオを経由した取り引きだった計算になる。 急成長する中国市場に熱い視線を送る日本企業もタオバオを活用。ファーストリテイリングは四月に「ユニクロ」の衣料のネット販売を始めたが、ユニクロ独自のサイトに加え、タオバオにも出店した。柳井正・会長兼社長は上海での記者会見で「中国での販売のうちネットでの販売比率を一年後には一〇%程度に拡大する」という目標を語ったが、タオバオ出店の効果は予想以上。出店後十一日間の売り上げは、ユニクロの中国にある店舗の売り上げ合計に匹敵する規模だったという。

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