デルタとアメリカンにとってのJALの「価値」

執筆者:ダン・リード2009年12月号

[フォートワース発]日本航空(JAL)の経営陣や従業員、そして日本政府にとって、日航との資本・業務提携を申し出ているデルタとアメリカンの米航空二社は白馬の騎士に見えるかもしれない。 いずれも旅客数で世界最大規模の航空会社だが、日本のフラッグキャリアを守ろうとしているわけではないし、日航に三億―十億ドル(約二百七十億―九百億円)も楽々出資できるほど手元資金が豊富なわけでもない。実際、今年七―九月期、デルタは一億六千百万ドルの赤字を計上。アメリカンの親会社であるAMRも三億五千九百万ドルの赤字を計上している。 両社は米国、そして世界の旅客航空市場で覇権を争ってきた。日航の経営危機はアメリカンにとっては北米―アジア路線での地位を拡大させ確実なものにする好機だし、逆にデルタにとってはこの市場からアメリカンを事実上締め出し、競争優位を固めるチャンス。こうした競争が日航支援の背景にはある。 米国の航空コンサルティング会社ボイド・グループのマイケル・ボイド社長は語る。「日航がデルタとスカイチーム(デルタが率いる航空会社連合)になびけば、アメリカンとワンワールド(アメリカン主導の連合で日航も加盟)は、(中国など)東京より西への路線を失い、事実上、太平洋路線から締め出される。何としても日航をつなぎとめたいところだ」

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