米軍三万人増派でもタリバンの勢いは止まらない

執筆者:ジーン・マッケンジー2010年1月号

「テロとの戦い」の名の下に軍閥と結ぼうとしているアメリカ。だが、それは逆にアフガニスタンの一般市民をタリバンに向かわせることになる恐れがある。「過去の過ちは繰り返さない」と言うオバマ政権に「出口」はあるか。[カブール発]バラク・オバマ米大統領がようやくアフガニスタン戦略を公表したことで、政治家と評論家は賛否両論と今後の見通しを述べ立てるのに忙しい。だが、議論の大半は米国内向けだ。アフガン戦争への米国民の支持がかつてないほど低くなるなか、政治家は単に世論を味方につけて自らの立場を良くしようとしているに過ぎない。 本来、最も関心を払われるべきであるアフガニスタンの人々――戦争に疲れ、意気消沈し、怯えて暮らすアフガニスタンの人々――に対する視線は欠落している。遠い論争を聞かされるアフガニスタンの人々は、自分たちが最も恐れる二つのことを地上最強の超大国が一挙にやってしまうのではないかと心配している。二つの恐怖とは、戦闘の激化、そして最終的には国際社会に見捨てられることである。「せっかく新たなシステムができようとしていたところなのに、多国籍軍が撤退してしまえば、すべては終わりだ」。首都カブールに暮らす地元ジャーナリストのナシム・ナシミは落胆を隠さない。

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