ロシア軍がイスラム系兵士の増加に頭を抱えている。スラブ系のロシア人と、カフカス地方のイスラム系の兵士の衝突はこれまでも多かったが、従来は支配民族のスラブ系が他民族を迫害していた。ところが、最近はイスラム系がスラブ系を圧迫するケースが増えている。 ロシア政府は少子化対策に力を入れているが、スラブ系ロシア人は人口減少に歯止めがかからず、加えて賄賂で徴兵を逃れる若者が多い。一方、カフカス諸民族は出生率が極めて高いのに地元に職がなく、軍に食いぶちを求める若者が急増している。 バルト艦隊で最近、ダゲスタン共和国のイスラム系兵士たちが長期間、スラブ系兵士に金品を要求したり、カフカス地方のダンスを強要していたことから双方が衝突した事件は、ロシアのメディアでも下級兵士社会の「力関係」の変化を示すできごととして注目された。 チェチェン独立戦争に端を発したゲリラ闘争はカフカス全域に拡大、この地域で計七百万人とも推定されるイスラム人口の反ロシア感情は根強い。このため、ロシア軍に入っても集団で規律を乱す傾向が強いが、部隊の定員を満たすためには、今後もイスラム系兵士に頼らざるを得ないのが現状だ。

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