予算の無駄を洗い出す事業仕分けに、官僚たちは「人民裁判」と恨み骨髄だ。その中で、農林水産省の高橋博総合食料局長が仕分け作業の運営に異を唱え、政官界の注目を集めた。 都市部での農産物直売所の運営を支援する「マルシェ・ジャポン・プロジェクト」が、「民業を圧迫する」として「廃止」を宣告されたのが、騒動の発端。所管の高橋局長は怒り心頭に発し、直売所と利益相反する流通業界に在籍した人物が「仕分け人」に含まれることに疑念を表明する「意見書」を、農水省の仕分けを担当する蓮舫参院議員に送った。 高橋局長は「将来の次官候補」(農水省関係者)だが、「キツい性格で、何につけ自分の意見を主張しないと気が済まない」(同)との人物評がある。今回も一方的な展開に我慢がならなかったようだが、「事業仕分けは政治イベント。まともに反論しても無意味」(同省幹部)と、局長の「暴走」に身内も迷惑顔だ。 衆院選前に井出道雄事務次官が民主党の農政を「現実的でない」と批判して睨まれるなど、「農水省は空気が読めない」(経済官庁幹部)が霞が関の定説。今回の騒動はそれを改めて実証した格好だ。

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