転機を迎えた大学「推薦入試」の内実

執筆者:相沢清太郎2010年1月号

一般入試の合格枠を狭めて偏差値を上げ、「別ルート」で学生をかき集める。学力を軽視し「ブランド水増し」に血道を上げた最高学府の実態。 大学入試シーズンがやってきた。試験場の門をくぐる受験生の数は減る一方だが、それは決して少子化だけが原因ではない。今や入学者の半数以上が伝統的な筆記試験による一般入試ではなく、推薦入試など別ルートを経て大学に入ってくるのだ。 推薦入試の本来の目的は「多様な学生の確保」だった。ペーパーテストを制限時間内に解かせる以外にも学生の能力を測る手段はあると言われれば、表だって反論はしにくい。ところが、建前と本音は著しく乖離している。その結果、推薦枠の無制限な拡大で学力の担保さえ怪しくなっているのが実態だ。 こうした問題が最も象徴的に現れているのが大学入試なのだが、高校入試にしても、公立の一般入試で内申書が幅を利かせる一方、私立は単願者と併願者で合格点が違う場合が珍しくなく、入り口の基準はまちまち。受験業者は「全員が同じ問題を解いて優劣を競うという意味で、公平かつ透明性が高いのは中学入試しかない」(SAPIX)と言い切る。「偏差値操作」に使われ 不自然な制度は、いずれ音を立てて崩れるものだ。大学入試の一段階前の高校入試で「異変」が相次いでいる。

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