民主党と財務省の「一体化度」を検証する

執筆者:富山創一朗2010年1月号

民主党の「脱官僚」が言葉だけなのはもはや明らかだ。財務省もびっくりの「財務省依存」は巨大な権力装置を生み出しつつある。 自民党政権の権力の中枢は、国家予算の分配権を実質的に握っていた主計局を中心とする財務省であったことは、明らかだ。では、「脱官僚依存」をマニフェスト(政権公約)に掲げて政権を奪取した民主党は、財務省をどう処していくのか。政権交代から三カ月以上がたち、ようやくその本当の関係が見えてきた。 総選挙で政権交代が決まる二カ月前。財務省は民主党政権の誕生を想定し、「民主党シフト」を敷いた。他の省庁が幹部人事の発令に逡巡していた六月末。財務省は事務次官ら幹部の人事を決めたのだ。杉本和行次官が勇退、後任に丹呉泰健主計局長を充てた。同時に篠原尚之財務官も退任、後任に玉木林太郎国際局長を就けた。 杉本氏と丹呉氏は同期入省。同期から二人の次官を出すのは異例のことだ。しかも、丹呉氏は民主党が“敵視”する小泉純一郎首相の秘書官を務めた人物。財務官になった玉木氏は、二月に開かれた先進七カ国財務大臣・中央銀行総裁会議(G7)で中川昭一財務相に同行。大問題に発展した「酔いどれ会見」の原因である酒盛りに加わっていたとされる。

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