なかなか結論がまとまらない米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題をめぐって日米関係がぎくしゃくする中、外交・防衛政策に一家言を持つとされる前原誠司国土交通相の水面下の動きが活発化しているという。 沖縄・北方担当相を兼務する前原国交相は、従来から岡田克也外相や北沢俊美防衛相らとともに普天間問題の協議にも参加する立場だ。ただ、これまで記者会見などの表舞台では「あくまで外相や防衛相が主体的に取り組むことだ」と繰り返し、黒衣役に徹する姿勢を強調してきた。 しかし、政権内では昨年十一月下旬から、県内移設で年内決着を目指す外相らと、県外・国外への移設を求める社民党との対立が表面化。そんな状況に黙っていられなくなったのか、前原氏は十二月二日に外務省の担当幹部を呼び、直に独自案の検討を指示したという。 政府筋によると、前原私案の肝は玉突き的な移設方式。具体的には、普天間飛行場の米軍ヘリ部隊を岩国基地に移設し、同時に岩国への移駐を計画している厚木基地の空母艦載機を関西国際空港へ移すというものだ。岩国へは普天間の空中給油機の移転が既に決まっており、稼働率が低迷する関空の“救済策”にもなるとそろばんをはじいたようだ。

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