昨年末、株価が四十一年ぶりの安値をつけた鹿島。業績低迷に歯止めがかからない。「営業のプロ」と言われた中村社長は逆風にどう立ち向かうのか。 昨年十二月九日、国土交通相の前原誠司(四七)以下、国交省政務三役と建設主要八団体の会長との初会合がホテルオークラ(東京・虎ノ門)で開かれた。 会合の席上、「少子高齢化問題などを抱えるわが国の現状では税金の使い途を変える必要がある」と「コンクリートから人へ」の政策に理解を求める前原に対し、「公共投資の削減は結構だが……」と切り返したのは昨年四月に日本土木工業協会会長に就任した鹿島社長の中村満義(六六)。返す刀で「二〇〇九年一―十月に建設業就業者数は約二十万人減っており、これに今後も政府投資の削減が続いたら一〇年までの二年間で就業人口は計四十万―五十万人減少する」と業界の苦境を訴えた。 民主党が「人へ」と言うなら、建設業も「人」を盾に反論する。この日に備えて就業人口急減の試算を弾き出させていた中村のパフォーマンスは、相も変わらぬ業界救済を叫んでいた他の業界団体首脳の中で当然のように関係者の注目を集めた。 中村が鹿島社長に就任したのは〇五年六月。専務から十人抜きという大抜擢であり、土木が主流の同社で建築営業一筋という異色の経歴。さらに大本命と見られていた創業一族の副社長を差し置いての昇格に、業界内外で驚きの声が上がった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。