「政権交代」に苦悩する医療関連団体

執筆者:清水常貴2010年2月号

 昨年の政権交代後、「与党らしくない民主党」と「野党らしくない自民党」が巻き起こす椿事が続いているが、年末に「十年ぶりのプラス改定」で決着した診療報酬改定を巡る両党の動きもそのひとつだった。 プラス改定を要求する厚生労働省に対して財務省がマイナスを主張している最中に、自民党は厚労族議員の大村秀章元厚労副大臣を座長にした「診療報酬ワーキンググループ」を設置。日本医師会や日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会などの医療関連団体を党本部に招き、ヒアリングを実施した。すると与党民主党も櫻井充議員を中心にした「適切な医療費を考える議員連盟」を立ち上げ、同じ日に日医や歯科医師会などを招き要望を聴取。自民党のヒアリングにぶつけた。 自民党のヒアリングは十二月十六日の十二時から一時間、民主党は十三時からで、「時間をずらしてくれたおかげで何とか調整がつきましたが、同じ時間だったら大変でした」と、ある団体幹部はこぼす。与党時代は非公開だった自民党のヒアリングが公開で、日頃、透明性を主張している民主党が非公開と、それぞれの姿勢は逆転していた。踏絵を突きつけられて…… 呼ばれた医療団体は後顧の憂いがないように、トップではなく副会長や理事が出席したが、各団体とも困惑気味だった。ある関係者は「今は微妙な時期ですから」と説明する。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。