中国の自動車メーカーが、経営危機に陥った欧米の自動車メーカーを買い漁っている。米ゼネラル・モーターズ(GM)の「ハマー」や「サーブ」の一部資産、それに米フォード・モーター系の「ボルボ」が中国企業の手にわたることが、昨年十月から十二月にかけて相次いで決まった。買収の対象は自動車部品メーカーにも及んでいて、破綻企業を買いたたき自動車生産大国を目指そうという中国の国家ぐるみの戦略が見え隠れする。 ボルボ買収でフォードと昨年十二月に大筋合意したのは、大手の吉利汽車。同年の上海モーターショーでロールスロイスそっくりの車を堂々と展示したことで話題になった。実業家の李書福氏が設立し、冷蔵庫生産などを経て一九九七年ごろに自動車事業に進出した。ボディのデザインは日本や欧米車を模倣。価格は海外メーカーの半分ほどで、中国の自動車市場の拡大を追い風に売りまくった。 一方、吉利汽車をはじめ中国車の性能の低さは折り紙つき。中国の自動車市場は米国を抜いて世界一の規模になったが、乗用車市場での中国メーカーのシェアは三―四割程度にすぎない。日本や欧米企業が現地で生産した車がほとんどだ。「このままでは外国メーカーの草刈り場になる」という危機感が政府や自動車業界の関係者の間で根強くあった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。