小沢一郎民主党幹事長の政治団体による土地取得で、東京地検特捜部が秘書ら三人を政治資金規正法違反で逮捕・起訴した事件は、小沢氏本人の不起訴によって、全容解明とはほど遠い結果となった。“政治的な見込み捜査”といった検察への批判が広がる一方、政治家の政治団体が計十億円もの不動産を所有するという異様な資産形成も注目された。窺えるのは、土地本位制と呼んでもいい、資産としての土地への強いこだわりだ。 そもそも小沢氏は、弁護士出身の政治家だった父・佐重喜元郵政相から、どの程度の資産を相続したのだろうか。二十年ほど前、佐重喜、一郎の二代に亘って地元、岩手県水沢市(現・奥州市)での選挙を支えた泉大八氏(故人)が、こんな回顧談を口にしていた。「佐重喜は戦前から東京・御徒町に事務所を構え、界隈を縄張りにしていたテキ屋・黒門町一家の顧問弁護士をしており、若い衆がカバン持ちをしていたこともあった。終戦直後、朝鮮人や中国人に占拠された土地を取り戻す仕事を一家から請け負い、成功報酬として土地のおよそ十分の一を受け取っていた。こうした土地が都内に散在、一部は佐重喜本人の選挙の度に切り売りしたが、一九六八年に急死した時点でもかなり残っていた」

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