「朝鮮系料理店は避け、日系や韓国系の店で話し合っている」。中国筋は、北朝鮮当局者と日本の民主党関係者が北京で水面下の接触を続けていると明かす。「中国は注目している。密会の場所の相談に乗ったり静かな環境を提供したりする他にも、協力できることがあれば要望して下さいと日本側に伝えた」。 同筋によると、昨年十二月に大代表団を率いて訪中した民主党の小沢一郎幹事長は、昼間に胡錦濤・中国国家主席と公式会談した十日の夜、対北朝鮮外交を主管する中国共産党中央対外連絡部の王家瑞部長とも面会。拉致問題解決で「とても真剣な熱意を強調した」という。 狙いは今夏の参院選に向けて国内政局を有利に運ぶこと。北の核開発をめぐる六カ国協議の膠着を打開したい中国と思惑は異なるものの、拉致問題前進の必要性では双方が一致し、中国は日朝の話し合いに側面から協力すると仄めかしたとされる。王部長は二月に訪朝、金正日総書記とも会談した。「日本側が複数回、北京の北朝鮮大使館を訪れた姿は確認しているが、逆に北側が日本大使館に出向いた形跡はない」と同筋。「情報管理の甘い日本側施設を避けているのは、小沢氏の本気度を示す」とする。 なお、同筋は、金総書記の後継者とされる三男の金ジョンウン氏の名の表記に関し、「『正雲』の『雲』は大陽を遮るから不適切だとの声が高まり、同じ発音の『正恩』に変えたと中国は分析している」と語る。北では大陽は故金日成主席を指す。

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