水資源問題に悩む中国が外資系企業への依存を強めている。 「中国環境状況公報」二〇〇八年版によると、国内の水の供給源となっている七大水系(長江・黄河・珠江・松花江・淮河・海河・遼河)の二百河川・四百九カ所で水質を調査したところ、水道への利用の難しい水域は四五%。やはり重要な水源である重点湖沼二十八カ所のうち、水道に適しているのは六カ所だった。水問題を抱える都市人口は約一億人、農村部でも安全な飲み水を得られない人口は約二億人に上るとされる。  問題の根は汚水処理だ。下水道の普及率は大都市で六〇%を超えるものの、全人口の半数近くが暮らす農村部の中小都市では二〇%、村レベルでは二―三%でしかない。全国六百都市の約半数では汚水処理場がないか、あっても稼働率が低い。  中国政府は対策として、第十一次五カ年計画(〇六―一〇年)に一兆元(約十四兆円)超の水関連投資を組み入れたほか、政府直轄だった水事業で外国や民間の資本導入を解禁。世界の“水メジャー”が中国に乗り込み、利権を得ている。  仏ヴェオリアは主要二十五都市で給水事業を進め、総投資額は約一兆円。仏スエズは九千億円以上を注ぎ込み、十数都市で地元企業などと二十社以上の合弁会社を設立。英テムズウォーターも上海市から水処理を六千八百万ドルで受注した。

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