東京・大手町で進められているみずほ銀行大手町本部ビルの建て替え工事が、みずほフィナンシャルグループ(FG)の苦悩の種となっている。  旧本部ビルは旧富士銀行の本店。老朽化を理由に、隣接する大手町フィナンシャルセンターとともに再開発が計画された。二〇一四年に地上三十九階、高さ約二百メートルの超高層ビルが完成する予定で、みずほFGの本部が再び入るほか、ホテル・商業施設も入居する。  ところが、旧ビルの取り壊し作業中に、旧富士銀が埋めたものと見られるタイムカプセルが見つかった。中には往時の預金通帳や営業報告書、女子行員の制服のデザイン画などが入っていた。「旧本店の建設に関わった行員はすでにおらず、カプセルが埋まっていることを誰も知らなかった」(みずほ関係者)。  みずほグループは不良債権処理の過程で旧富士銀、旧第一勧業銀、旧日本興業銀の本店建物と土地を売却済みで、現在は売却先から間借り中。建て替えの本部ビルも“大家”は旧富士銀系の東京建物。「“店子”の記念品を新ビルに埋めるわけにもいかず、処分もできず、扱いに窮している」(同)という。  もうひとつ、首脳陣を悩ませているのは、米国の同時多発テロで犠牲になった関係者の慰霊碑の扱いだ。旧ビルでは正面入口の傍に設けられ、毎年九月十一日には経営陣が出席して、その前で慰霊祭が営まれてきた。

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