独自性が薄れる専門学校の「官頼み」

執筆者:相沢清太郎2010年3月号

 私大入試が佳境に入る二月中旬から、新聞やテレビでは専門学校の広告が目に見えて増えてくる。多くの専門学校は四月の入学式直前まで生徒募集を続ける。大学と違って偏差値によるランク付けとはほぼ無縁のため、知名度が生徒募集に大きく影響するのだ。 専門学校は「専門課程」を持つ専修学校である。専修学校の生徒数は二〇〇九年度で六十二万人だが、過去最多だった一九九二年度と比べれば三割近く減った。もっとも、十八歳人口はこの間、二百五万人から四割強も減少したので、少子化の中で健闘していることになる。全在校生の四五%を占めるのは医療・衛生関係。残りの過半は経理やパソコン、被服といった実務系だ。 一九九〇年代は第二次ベビーブーム世代が大学・短大入試に殺到し、専門学校があぶれた生徒の受け皿になった。九〇年代後半からは不況が生徒数の維持に寄与した。最近は専門士の称号が得られる「専門課程」に入学した二十五万人のうち、一割近くが大学・短大を卒業している。就職難の反映だろう。 それでも経営状況は必ずしも順調ではない。〇九年十二月の学校数は三千百三十五校。ここ五年間で倒産や統合などにより百校近くが姿を消した。看護師養成など限られた分野を除けば、定員割れは珍しくない。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。