「政治主導」「公務員制度改革」に関わる法案が相次いで打ち出されている。(1)「国家戦略局」の設置などを内容とする「政治主導確立法案」が二月五日に閣議決定、(2)幹部人事制度や「内閣人事局」の設置などを内容とする「国家公務員法等改正案」が九日に内閣府政策会議にかけられた。このほかに、(3)政府に入る国会議員数を七十四人から八十九人に増員する議員立法も別途準備中。三本立てで今国会成立を目指しているのだ。 ようやく「脱官僚」が本格的に動き出したかのような報道もあるが、それは大間違いだ。「政治主導確立法案」は、「国家戦略局」に入る国会議員の数がわずか二名に限られ、「政治主導」は完全に看板倒れ((1))。政府に入る国会議員数も、昨夏のマニフェストでは「百名」のはずだったのに、いつの間にかわずか十五名増員へと尻すぼみだ((3))。 だが、最も深刻な問題を孕むのが、「国家公務員法等改正案」((2))。結論から言えば、かつて麻生内閣が提出した内閣人事局関連法案よりずっと劣る。麻生法案の悪い点はそのまま継承し、数少ない良い点は後退させるという、とんでもない代物だ。 あまりの劣悪さに原口一博総務大臣らが閣内で異論を唱え、十二日に予定されていた閣議決定が見送られる事態となったが、ここでは、九日の政策会議にかけられた法案に基づき問題点を検証しておこう。

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