民主党を直撃した政治資金規正法違反事件は、小沢一郎幹事長の元秘書・石川知裕衆院議員が起訴されて離党、小沢氏は不起訴となって政治的には、一区切りがつけられた。 だが、小沢氏と検察の戦いは、これから第二ラウンドが始まる。「小沢氏の逆襲」と言い換えてもいい。 小沢氏はピンチをチャンスに変える達人だ。その典型的な例が、一九九二年、東京佐川急便事件をきっかけにして起きた自民党竹下派内の権力闘争で敗れ、非主流派に転落した時の対応だ。小沢氏は事件の再発防止のため選挙制度改革を訴えて国民の絶大な支持を得た。翌九三年には自民党を割って出て新生党を結成、自分が核になって非自民連立の細川政権をつくりあげてしまった。 自分を窮地に追い込んだ問題を解決する政策課題をぶち上げて、反転攻勢をかける。論点のすり替えに見えなくもないが、これが小沢流だ。 今回、小沢氏が仕掛けようと窺っているのは、捜査可視化の法整備。警察と検察の容疑者取り調べの全過程で録音、録画を義務づける刑事訴訟法改正案の今国会提出だ。 警察、検察は捜査に支障をきたすとして反対しているが、密室捜査が冤罪を生む温床になっていることは、足利事件の報道などを通じて浸透している。可視化は国民の支持を得られるだろう。法改正に慎重な自民党を「守旧派」と決めつけて攻撃することもできる。

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