ベトナムは経済的対外開放路線(ドイモイ=刷新)のもと急成長を遂げているが、そのドイモイ路線をめぐり同国共産党内で政治闘争の兆しが出ている。 ハノイの外交筋によると、重要な政策決定を行なう共産党政治局では、今年に入り、ドイモイの一層の推進を掲げるグエン・タン・ズン首相に対し、ノン・ドク・マイン書記長が難色を示すケースが増えている。 首相に代表される改革派は、市場経済と外資導入をさらに積極的に進めるとともに、国内の民主化にも一定の理解を示すべきだと主張、政治局内で多数派を形成している。 書記長派は少数ながら、経済発展に伴い共産党の統制が緩んでいることを懸念、経済よりも国内政治体制の引き締めに政策の重点を置くよう強硬姿勢を見せているという。書記長は最近、演説で改革にほとんど言及しなくなったとの指摘もある。 マイン書記長は北部の少数民族の出身で保守派に属する一方、ズン首相は南部出身の国際派で、元々折り合いが良くない。党内の序列では書記長がトップ、ズン首相はグエン・ミン・チェット国家主席に次ぐ三番目。来年初めには五年に一度の党大会が予定されている。同筋によれば、ズン首相は次期書記長の座への野心を抱いており、今年夏ごろからマイン書記長らの保守派との権力闘争が起きる可能性があるという。

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