ベトナムのホーチミン市当局が、市内運河の環境改善工事を発注していた中国企業との契約を打ち切ったことが明らかになった。同市は世界銀行の融資を受けて、ニエウロック・ティゲー運河流域環境衛生改善事業を総額八千五百万ドルで中国の建設大手「中国建築工程総公司(CSCEC)」に発注。すでに六千万ドル相当の工事は終わっている。 しかし、昨年四月に不適切な工事で排水溝がふさがれ、雨水が排水されず住宅地区に流入し、浸水被害が起きた。さらに同年十一月にはCSCECが工期の延長を申し入れる事態も起きていた。そんな中、今年一月にはCSCECがフィリピンで請け負った事業に絡んで汚職が発覚。世銀から五年間のブラックリスト入りという制裁を科せられていたことが判明した。 これを受けてホーチミン市当局が工事の本格的な調査をしたところ、手抜き工事が次々と判明。当初の計画通りに進んでいないことや、二〇一〇年内の完工に間に合わず、約一年工期が余分にかかることも分かった。 こうしたことから、市当局ではCSCECとの契約を打ち切らざるを得ないと判断したという。 市当局では工事を終えるためには新たな融資を調達する必要があり、対応に苦慮しているが、「中国企業に騙された」「事前審査がずさんだった」などの声が高まっており、中越関係への影響も懸念される。

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