「北京だけではなく、天津や遼寧省の丹東、瀋陽にも舞台を拡大し、北朝鮮の労働党、外務省、在中国大使館幹部ら多方面の関係者と会い、一定の前進が見られるようになったと耳にしました」――水面下で続いているとされる日本の民主党議員らと北朝鮮との接触につき、中国の対外交流部門の幹部が明かした。 このルートによるものかは不明だが、日本側の最新の成果は北側から「さらに真剣に全力を挙げて再調査した結果、一部の地方から拉致被害者かもしれないとの報告が上がってきた。早急に確認したい」との言質を引き出した点だとのこと。 中国側が把握している日本側の交渉担当者は、二〇〇八年に作られた超党派の日朝国交正常化推進議員連盟のメンバーが主軸。訪朝経験もあり同議連の事務局を差配する民主党議員が「最も活発に動く一人」で、ほかにも民主党と連立会派を組む国民新党など、さらには自民党からも同議連メンバーが訪中して北側と接触した形跡を確認したと、この幹部は述べる。「参院選の票目当ての対北交渉は、北に足元を見られる恐れも大きい。だが、“X氏ルート”一本に頼りきった、かつての日本外務省の手法の限界も明らかだ。北との話し合いに臨んでいる議員はほとんどが小沢一郎幹事長との関係が密接で、小沢氏が司令塔なのは疑いない。可能な範囲で側面支援したい」と、中国の関係筋は語ったという。

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