「人材開国」実現のための実践的処方箋

執筆者:出井康博2010年4月号

『フォーサイト』が創刊された一九九〇年、日本国内の外国人登録者数は初めて百万人を突破した。それから二十年、その数は二倍以上(二〇〇八年末現在で約二百二十万人)に増えている。日本に出稼ぎに来る外国人が急増したからだ。 グローバル化が進むなか、日本に暮らす外国人が増えることは自然の流れなのだろう。ただし問題は、政府が明確な方針を持たないまま場当たり的に外国人労働者の受け入れを続けてきたことだ。 まず九〇年、新しい出入国管理及び難民認定法(入管法)が施行され、日系人の就労や定住が可能になった。政府は当時、バブル期に急増した不法就労者の一掃を進めていた。彼らの中には日本人が敬遠するきつい仕事に就き、社会を底辺で支える単純労働者も少なくなかった。不法就労者に代わる外国人労働者が必要だったが、単純労働者の受け入れは法律で認められていない。そこで日本にルーツを持つ日系人に着目し、国家として「裏口入国」を認めたのだ。 続いて九三年には、外国人研修・技能実習制度(研修制度)が導入された。発展途上国の若者を受け入れ、日本で技術を学んでもらうことを主旨とした制度である。だが、それはあくまで建前に過ぎず、実態は日系人と同じく、日本人の働き手が不足している職種に低賃金で働く単純労働者を送り込むための手段に過ぎなかった。

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