次の20年の20人 トーマス・ホーグ

執筆者:北谷賢司2010年4月号

 ノルウェー海運大手の経営者一族に生まれ、米国で演劇を学んだ後、MBAも取得。IT投資事業を手がけつつ、母国開催のリレハンメル冬季五輪では開・閉会式の演出を担当した。だが、注目すべきは、映画のデジタル配給サービス企業、アーツ・アライアンス・デジタル・シネマ(AADC)の創業者としてだ。 上映用フィルム制作費の削減や海賊版の撲滅につながるデジタル配給は、世界の映画ビジネスの一大変革。AADCは英国や北欧諸国で事実上の業界標準の地位を確立し、仏独でも政府の支援を引き出すなど巧みにシステム普及を図っている。 デジタル化は配給の迅速化でもある。音楽やスポーツのイベントの映画館での生中継も可能になり、実際、ホーグは日本など世界各国の劇場で人気グループ、アイアン・メイデンの世界同時・一回限りというライブ映画の興行を成功させている。 デジタル配給を応用する形で、新媒体として注目されるデジタル・サイネージ(店頭広告放送)の稼動システムでもシェアを確保しつつあり、両分野で近く日本への進出が見込まれる。Thomas Hoegh●アーツ・アライアンス・メディアCEO。1966年生れ。

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