次の20年の20人 ポール・ライアン

執筆者:リンダ・フェルドマン2010年4月号

 財政保守派のやり手論客として共和党内で知る人ぞ知る存在だった。それが今年一月、一躍、全米にその名を轟かせた。オバマ大統領が彼の財政赤字削減策を取り上げ「真剣な提案だ」と賞賛したからだ。 むろん、社会保障制度の民営化を含むライアンの提案にオバマは同意してはいない。しかし、独自の提案を行なったことを賞賛したのだ。 そして今、ウィスコンシン州選出のライアンこそ、二〇一二年の米大統領選で、オバマの再選を阻む共和党候補となるのではないかと、出馬の可能性が取り沙汰され始めた。 彼が超党派的な支持を集めるのは、経済の専門家として、伝統的に共和党の利権が絡む対象にも臆せず牙を剥くからだ。先頃も「打倒大企業」と題するエッセイをフォーブス誌に寄稿し、「クローニー(取り巻き)資本主義」と呼ぶ大企業と政府の癒着との対決姿勢を明らかにし、ロビイストたちをこき下ろした。 ホームページには税制や医療保険制度などの改革案が列挙してある。ブッシュ前政権時代にも巨額の財政支出を非難しており、ぶれない姿勢が評価されている。(訳=野口やよい)Paul Ryan●共和党下院議員。1970年生れ。

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