タイのウィーラチャイ・ウィラメタクーン(李天文)首相府大臣が昨年十一月に明らかにした国内鉄道路線の整備・拡充計画は、中国の昆明を基点にヴェトナム、カンボジア、タイ、マレーシアを経てシンガポールを繋ごうと中国が推進する国際鉄道計画に呼応したものといえそうだ。 ウィーラチャイの父親のスチャイ(李景河)はタイの対中ビジネスの大立者で北京との太いパイプで知られ、国内ではスラユット元首相に近い。同元首相の後ろ盾はプミポン国王の信任篤い国軍のゴッドファーザー、プレム枢密院議長だ。 また義父はタイ最大の多国籍企業で対中投資に特化するCP集団総帥のタニン(謝国民)で、兄嫁の父親はタイ王室にも繋がる華人名門でファーマーズ銀行を率いるバンヨン(伍捷樸)。加えて彼自身は、かつてタクシン政権を支えた巨大与党のタイ愛国党元幹部で、タクシン・ブレーンとは昵懇の間柄でもある。 かりに今後のタイの政権が、中国の進める東南アジア大陸大改造に成長の機会を求めようとするなら、ウィーラチャイ大臣は願ってもない人材だ。同時に父親や義父が築いたタイ国内の人脈と北京との太いパイプは、彼の政治的将来にとって限りない資産となろう。Virachai Virameteekul●首相府大臣。1967年生れ。

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