次の20年の20人 胡春華

執筆者:鈴木孝昌2010年4月号

 昨年十一月、四十六歳の若さで内モンゴル自治区のトップに抜擢され、全国最年少の書記となった。胡錦濤国家主席と同じ共産主義青年団の第一書記を務めた胡氏の直系。二〇二二年に誕生すると見られる共産党第六世代の指導者レースで最有力候補に躍り出た。 湖北省の農村の生まれ。十キロ近い道のりを歩いて通学し、発電所の砂利運びをして学費を稼いだ。十六歳にして北京大学に飛び級で入学。卒業後は自ら志願して胡主席も勤めたチベットに赴任し、二十年以上にわたって自治区や党組織で活躍した。〇八年からは河北省の代理省長、省長に起用され、粉ミルクへのメラミン不正混入で多くの乳児が腎臓結石となる事件が起きたが、責任を問われることなく切り抜けた。 ライバルは、同時に吉林省の書記に抜擢された同年生まれの孫政才氏。江沢民派が牛耳る北京市政府の出身で、江氏の庇護を得ている可能性が強い。胡錦濤―江沢民の暗闘が続く中国政界。第五世代のトップは江派が推す習近平国家副主席がほぼ手中に収めた。第六世代でも両勢力の綱引きが繰り広げられる。Hu Chunhua●内モンゴル自治区党委員会書記。1963年生れ。

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