次の20年の20人 李在鎔

執筆者:2010年4月号

 サムスン・グループの創業者の孫という血筋、四十一歳にして副社長というエリートぶり、グループ企業の転換社債の不正取得などの疑惑で捜査を受けた過去。注目は国外からも集まる。 サムスン電子にはソウル大在学中の一九九一年に入社。その後、早大に学んだ祖父と父に倣うように慶大大学院で修士号を、米ハーバード大で博士号を得た。社業では経営企画畑を歩き、半導体・液晶事業の大成功は李潤雨副会長兼CEOの功とされるなど、在鎔自身には目立った業績はまだ少ない。 だが、父もサムスン電子を家電・AV・IT機器で世界トップにまで引き上げ、日本の競合相手からも尊敬を集める李健熙グループ前会長。前述の疑惑で二〇〇八年に職を退いたものの、一族の存在感は強大で、一人息子の在鎔は昨年十二月、副社長に昇格した。彼の栄達は以前から半ば既定事項でもあり、〇五年には『二〇一五年――李在鎔のサムスン(邦訳『二〇一五年のサムスン』光文社)』なる書が韓国でベストセラーになっている。 父祖の帝国を引き継ぐことになる在鎔の下、“サムスンの奇跡”はどう続いていくのだろうか。Lee Jae-yong●サムスン電子副社長。1968年生れ。

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