次の20年の20人 ウゴ・チャベス

執筆者:遅野井茂雄2010年4月号

 政権就任後十年目の二〇〇九年二月、憲法修正を問う国民投票で大統領の無期限再選が承認された。選挙に勝ち続ければ終身大統領も夢ではない。  憲 法制定議会を通じて権力を掌握し、クーデターからの復権、ゼネストで挑む石油労組との激闘、大統領罷免を問う国民投票と、反対派の挑戦と策動をことごとく 民衆動員で退けてきた。運よく石油価格の急騰にも援けられ、〇六年選挙で権力基盤を磐石とした。「二十一世紀の社会主義」を掲げてキューバと同盟関係を強 め、カストロ引退後の反米の盟主を自任する。  だが石油依存を強めた統制経済のつけは大きい。価格急落にともない再分配資源が細り、インフレ亢進 と物資不足に直面、企業の国有化と通貨切り下げで凌ごうとするが、ばら撒き経済はいよいよ袋小路に入った感がある。コロンビアを通じたアメリカによる包囲 網もじわり強まり、メディアへの弾圧、反対派への人権侵害は国際非難に晒されている。グローバル化時代の鬼子ともいえる反米の闘士の前途は、石油の値段と 得票率次第といったところだ。 Hugo Rafael Chavez Frias●大統領。1954年生れ。

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