「英BPが海外で持つ油田権益と引き換えに中国石油化工(シノペック)の株式を取得する」と英フィナンシャル・タイムズ紙が報じ、エネルギー業界に波紋が広がっている。十月中旬のこの記事について両社は明確なコメントを避けたが、「欧米の石油メジャーと中国の国有石油会社による、大規模な業界再編は十分あり得る」と注目を集めているのだ。  実際、メジャーと中国の接近の動きはこの数カ月、目立って増え始めている。七月には米エクソンモービルが、シノペックおよびサウジアラビアの国有石油会社サウジアラムコと組み、福建省で石油精製、石化製品生産、石油小売の一貫事業を共同展開することで合意した。BPとシノペックが合弁で設立した中国最大規模のエチレン工場も同じく今夏に稼動。十一月に入ってからは、やはりBPとシノペックが、江蘇省南京に世界最大級の酢酸生産工場を合弁で建設すると発表している。  中国政府には、原油などのエネルギー資源を中国へ豊富に供給できるメジャーに対し、精製など石油関連事業の認可を優先的に与えているフシがある。海外での油田権益の入札競争などでメジャーと中国勢は激しく競い合っているようにも見えるが、現実には相互補完の関係が急速に強まっていると言っていい。メジャーは中国市場に、できるだけ多くの参入機会を得たい。一方、中国の石油会社はメジャーの持っている油田権益や油田開発技術、さらには資金的な支えがノドから手が出るほど欲しい。つまり、両者が接近するのは必然ともいえる。

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