バブル時代の残滓とも呼ばれる巨大テーマパーク、ハウステンボス(長崎県)が、格安旅行会社大手のエイチ・アイ・エス(HIS)の手で再建されることになった。  旧日本興業銀行(現みずほ銀行)が二千億円もの資金を融資して完成したハウステンボスは、バブルの崩壊で倒産。巨額資金を融資した興銀が合併に追い込まれたあと、再建のスポンサーとして登場した野村証券の子会社が二百八十億円を投下し再建しようとしたものの、利益を上げられないまま赤字を垂れ流すばかりで撤退する羽目になった。そこで、最後の救世主として白羽の矢を立てられたのがHISの澤田秀雄会長だ。 「野村から『タダでいいから引き取ってくれ』と頼まれ、澤田会長は乗り気になった。ところが、HIS社内はタダなら採算に乗るという賛成派と、テーマパークは時代遅れだと主張する反対派に割れて侃侃諤諤。澤田氏も、引き受けると管財人に伝えた後、改修費が二百億円もかかることがわかると弱気になるなど揺れに揺れた。結局、施設の港湾部は県の管理とし、企業再生支援機構に改修費の資金支援をしてもらえるならと、二十億円を投下して再建に乗り出す腹を固めた」(関係者)  ただ、澤田氏の頭には現状のままのテーマパークを続ける意向はない模様。「テーマパークのままで再建は不可能。中国企業にも資本参加させて大規模なショッピング・モールを誘致し、中国からの買物客を狙う」(同)。つまり、ショッピングパーク「中華テンボス」に衣替えする考えだという。タダより高いものはないというが……。

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