中国政府の振興策で「海南島バブル」が加速?

執筆者:八ツ井琢磨2010年3月号

 中国大陸の南に位置する熱帯の島、海南島が今、注目を集めている。台湾より一回り小さい同島はかつて広東省の管轄下にあったが、開発促進を目的に一九八八年に独立の省に格上げされ、全島が経済特区となった。  とはいえ、他地域との交通の不便さなどから発展は遅れ気味。同じく経済特区のある広東省深セン市と比べると、面積は十七倍なのに、二〇〇九年の域内総生産(GDP)は五分の一だ。  だが、国務院(中央政府)は今年初めに政策文書「海南国際観光島の建設・発展推進に関する若干の意見」を発表。観光インフラ整備などを通じて同島を二〇二〇年までに「世界一流の海洋島嶼リゾート地」に発展させるビジョンを打ち出した。  目玉の一つは免税ショッピングの振興方針。当面は外国人旅客向けの大型免税店などを整備する見通しだが、将来は島全体を免税区域とし、国内旅行者にも開放するとの期待が持たれている。中国では高級ブランド品の需要が急拡大しており、海南島で香港のような免税環境が実現すれば、地元観光業に大きな追い風となる。  ビザ規制緩和も注目の政策。海南島はすでに二十一カ国からの団体旅行者にビザを免除しているが、「意見」によれば、新たにフィンランドやデンマークなど五カ国を対象に追加。ノービザ旅行の受け入れを拡大する。「意見」はこのほか、新形式のスポーツくじを導入する構想も示しており、「海南島で競馬が解禁される」との憶測も浮上している。

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