ナチ戦犯追及の裏にモサド

執筆者:春名幹男2010年9月3日

 サイモン・ウィーゼンタール・センターと言えば、名だたるナチ戦犯の追及で有名な組織だ。ホロコーストの生き残り、ウィーゼンタール氏が立ち上げた。アドルフ・アイヒマンらのナチ逃亡者を探し出すとともに、ネオナチの動きを監視し、ホロコーストの存在を疑問視する著述などにも目を光らせてきた。彼は5年前96歳で死去した。
 そのウィーゼンタール氏がイスラエル情報機関モサドのエージェントだった、という事実が、イスラエル紙ハーレツの著名なコラムニスト、トム・セゲブ氏の新著で明らかにされた。ウィーゼンタール氏は最初、モサドの前身であるイスラエル外務省政治部に雇われ、モサドも引き続き彼を雇ったという。アイヒマンの逮捕については諸説があるが、この本によれば、アルゼンチンに隠れているとの情報は1953年にウィーゼンタール氏がモサドにもたらし、60年に逮捕されたという。
 ウィーゼンタール氏とモサドの関係は別に驚くべき事実ではないが・・・。

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