コンゴ東部紛争での性暴力

執筆者:白戸圭一2010年9月10日

 コンゴ民主共和国に展開する国連平和維持活動「国連コンゴ安定化派遣団(MONUSCO)」が、同国東部の北キブ州で起きた武装勢力による集団レイプ事件を防げなかったことに対して批判が集まっている。

 まず、事件の概要を記しておきたい。
現地で人道支援活動を続ける米国の医療支援団体「インターナショナル・メディカル・コープス」がAFP通信に明らかにしたところによると、集団レイプは7月30日から8月3日にかけて、北キブ州のルブンギ村とその周辺の複数の村で発生し、少なくとも242人の女性がレイプされ、医療施設に運ばれたという。
同団体によると、同国東部を活動拠点にしているフツ人反政府勢力、ルワンダ解放民主軍(FDLR)と地元民兵組織マイマイの犯行だというが、FDLRは関与を否定している。FDLRは隣国ルワンダで1994年に発生したルワンダ大虐殺の加害者側の軍人たちが報復を恐れてコンゴに逃亡し、コンゴ政府の事実上の庇護の下で組織した武装勢力である。

 問題は、MONUSCOがルブンギ村から約6キロ離れた地点に活動拠点を置いていたことだ。MONUSCOはコンゴの民間人に対する残虐行為の防止を主な任務としているが、国連側の説明では、事件について知ったのは1週間以上たった8月12日だったという。さらに、米紙ニューヨーク・タイムズが、レイプが始まった7月30日に武装勢力の活動の活発化を知らせる電子メールが現地の国連関係者の間で共有されていたと伝え、MONUSCOの対応が俄然、問題視されることになった。

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