CIAスポークスマン

執筆者:春名幹男2010年9月26日

 CIA(米中央情報局)のスポークスマン(広報部長)が交代した。前任のポール・ギミグリアーノ氏はCIA内の別の部門に異動するが、恐らく以前にいた分析部門に戻る可能性が大きいだろう。後任はジョージ・リトル氏が副部長から昇格した。ジョージタウン大学で博士号を取得、国家対テロセンター(NCTC)にいたことがある。従って、テロ情報には強い。記者たちにとって広報部長は通常、CIA内で唯一容易にアクセスできる取材先だ。
ギミグリアーノ氏の前任のマーク・マンスフィールド氏は10年以上広報部長を務めた大ベテラン。筆者のワシントン在勤中何度も世話になった。と言っても、電話を通じてだけの付き合いだった。1、2度「会いたい」とランチに誘ったが、ガードは固かった。フォーリン・プレスセンターで旧ソ連国家保安委員会(KGB)の元暗号専門家が会見した後、どれほどの価値のある人物か不明だったので、電話で尋ねたら、「米国の安全保障への貢献は多大」との話だった。CIAがいつまでも抱えておく予算がなくなったので、記者会見させて「売り出し」、一本立ちさせる算段だったらしい。
「CIA内に記者室は作らないのか」と聞いたが、「内部の動きが分かってしまうから」記者室設置は認めないのだと言った。
その前任者は、CIA東京支局長も務めたケント・ハリントン氏だったと思う。彼は経済に強く、バブル崩壊後の日本経済について適確な評論記事をワシントン・ポスト紙に書いたことがあった。
リトル氏はパネッタCIA長官の広報戦略に合った人物なのだろう。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。