下院外交委員長交代で米外交はどう変わるか

執筆者:足立正彦2010年11月30日

 中間選挙の翌週から2週間余りボストン、ニューヨークシティ、ワシントンD.Cで米政府関係者、元米政府関係者や有力シンクタンクの米国政治の専門家らと意見交換をしてきた。その中で、過去約2年間のオバマ政権や民主党主導議会が推し進めてきた政策を共和党下院が巻き返すうえで、来年1月に開会する第112議会において注目すべきポストとして頻繁に名前が浮上していた一つが次期下院外交委員会委員長ポストである。

 中間選挙で共和党が4年振りに下院で多数党の立場を奪回したことで、下院のすべての委員長ポストが民主党議員から共和党議員に交代することになるが、第111議会(2009年1月~2011年1月)で下院外交委員会の共和党筆頭議員(ランキングメンバー)の立場にあるイリアナ・ロスレイティネン下院議員(共和党―フロリダ州第18区選出)の次期外交委員会委員長就任が確実視されている。

 ロスレイティネン下院議員は1952年にキューバの首都ハバナに生まれ、キューバ革命のために8歳の時に両親とともに米国への亡命を強いられている。フロリダ州議会下院議員、同上院議員を経て1989年に初のキューバ系米国人として連邦下院議員に初当選し、現在に至っている。キューバ亡命という同議員の経歴は政治哲学にも強い影響を与えており、キューバ、北朝鮮、イラン等の「圧政国家」に対する制裁強化を一貫して支持してきた保守派である。下院外交委員会の中東・中央アジア小委員会委員長を歴任していたこともあり、イスラエルに対する強固な支持を明確にしている安全保障問題に精通した有力下院議員である。国際社会の意向に反する核開発プログラムや弾道ミサイル開発プログラム等の大量破壊兵器(WMD)の開発を阻止するために、厳しいアプローチを導入する必要性を訴えている。

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