台湾の選挙はやはりこわい

執筆者:2010年12月8日

11月末にあった台湾の五大都市選挙を見てきました。詳しくはフォーサイトの記事で近く、結果分析と展望を書かせていただくつもりですが、一つだけ、選挙最終日に起きた銃撃事件について、触れさせてください。やっぱり台湾の選挙はいろんな意味でこわい、という話です。

投票日前日で選挙運動がいちばん盛り上がっていた26日、国民党長老の連戦氏の息子、連勝文氏が、選挙応援中に暴力団の男に顔面を銃撃され、重傷を負うという事件が起きました。私はそのころ台北市の国民党の選挙集会を見ていたのですが、別の場所で起きた銃撃事件のことが会場に伝わると、異様なざわめきと、「連勝文、頑張れ」「国民党、頑張れ」のコールが広がり、それまで停滞気味だった国民党のムードに一気に火がついた様子になりました。結果的に、国民党の得票を銃撃事件が数%押し上げ、5都市のうち辛うじて3都市を確保する一因になったと見られています。

それにしても、「また、銃撃!」です。2004年の総統選挙で民進党の陳水扁氏が撃たれた2発の銃弾は、超僅差での陳水扁再選を導きました。選挙無効を訴える国民党との間で激しい対立を呼び、逮捕された犯人の男も不自然な死亡を遂げるなど、できすぎたミステリー小説並みです。「2発の銃弾事件」と今も呼ばれる事件ですが、今回も「1発の銃弾事件」として語り継がれるでしょう。

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